Regulus

獅子秘書置き場

2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

long

「伸びたなー」「あなたが切るなと」「言った言った。だって勿体無いじゃん」出所した時は前よりも短髪だったのに、今じゃすっかり肩下まで伸びた銀髪を指に絡めて楽しむ。色も手触りも最高。家にいる時は邪魔だからって後ろでまとめてるからうなじが見える…

キャロット

オレンジ色の美味しそうな野菜。食べれない訳じゃない、必要以上に甘くなるこの調理方法が気にいらないだけだ。「また残してる」レストランで対面に座ったアンドリューが呆れたように笑うのが嫌でも視界に入る。仕事帰り、好きなレストランに来て好きなステ…

どちらでも

「あーんつってんのに、してくんなかった」デザートのアイスを食べていた時、ライアンが拗ねた。俺に食べさせてもらうのが好きなのかよくこちらを向いて口を開けているが、あいにくそんな上手く1口大に切れる料理の時ばかりでも無いし、こうも頻度が高いと…

deadline

「どうしてあんな危ないことを!」出動を終えて戻った俺を迎えたアンドリューの第一声がそれだった。 「市民守れたからいーじゃん」視界が悪かったのもあるが、周囲の確認を怠ったまま能力を発動して倒れてきたクレーンの下敷きになったのだ。寸前で避けたの…

腕時計

アンドリューの父親の形見だという腕時計。今日は珍しくベッド脇のチェストに置いてあったので、近くで見るくらいならいいだろうと顔を近づけたその時、アンドリューが部屋に戻ってきた。「あ、悪い、勝手に」「構いません。…つけてみますか」俺の腕に合わせ…

grave

ライアンのご家族に挨拶した帰り。たった数日の滞在だったのにとても濃い時間で、ライアンという人間を育んだというのがとても納得のいくご家族だった。夜の機内食も済み、翌朝には到着予定の機内の中で、照明が暗くなり少ししてから隣のライアンに顔を近づ…

君の涙

「むっかつく!」高級ホテルで行われていたスポンサーとの会合も終わり、今夜一泊する同ホテルの部屋に戻るなり、ライアンが脱いだスーツの上着をベッドに投げつけた。「あれが妥当な反応だと思いますよ」「ふざけんなっつーの!なんでアンタがそんな目で見…

Second meeting

親父にハグされた瞬間にアンドリューが泣き出した。俺の部屋に連れてきてベッドに座らせ、ひとしきり泣いて落ち着いたのか呼吸も整ってきたが、泣きはらした目は真っ赤になっている。「…すみません」母さんに渡されたタオルを膝で握りしめ、彼は俯いてそう言…

Not dream

夢を見てるのかと思うほど、信じられなかった。「したい」聞こえた言葉が自分の希望通りに捉えていいものか分からず、俺は手を止めて口を開けてスマホ越しにアンディを見た。ソファに座ってる俺の肩すぐ後ろの背もたれに片手をついて近づく表情は全くいつも…

バースデー

「あ、そうそう、明日俺の誕生日」風呂上がり、ベッドに座った俺にもたれてライアンが何とはなしに放った一言に頭が真っ白になった。「…は?」「だから夜どっか飯食いに行かね?」「いえ、あの」「何、今そんな仕事詰まってるっけ」「そうではなくて」仕事が…

Heat wave

「あっちー…」「今日何回目ですか、それ」ソファでじっとしてるだけでも汗が滲む。今日は数十年に一度だという猛暑日らしい。ニュースつけてもそればっかで、各地の最高気温記録更新を報道されても暑くなるだけだからテレビも切った。「暑くねぇの?」「そこ…

Cold wave

寒くて目が覚めた。横で寝てるライアンのおかげでそんなこと思うはずがないのに、今日は違う。空気が痛いほど冷えている。いつものように落ちているパーカーを羽織ってみるものの全然足りないので、クローゼットからライアンの上着を借りることにした。とり…

First meeting

「んー、やっぱここの空気はなんか落ち着くな」 降り立った空港の外へ出るなりライアンが大きく伸びをする。雲1つ無い良い天気だった。特別寒くも暑くもないが、どちらかというと通年暖かい気候だというライアンの生まれ育ったこの国へ、俺は初めて足を踏み…

敬語

一緒に居れたらそれでいいとか思うのは最初だけだ。傍にいる時間に比例して欲が出て、それが叶えられないと不満に変わる。自分勝手。なんて思いつつも、やはりそれを解消しようとしている自分がいて矛盾している。「敬語やめね?」「急になんですか」ハニー…

レスポンス

「なぁ」「なんですか」「なぁって」「だからなんですか」「やっとこっち向いた」何度も呼ぶ声に、タブレットを触っていた指が一段落したので振り返ると嬉しそうに笑うライアンの顔。毎日見ている顔だというのに飽きないのはお互い様なのだろう。「何か飲み…

home

まとまって休みが取れた。基本ヒーローに休みなんてものはないが、現オーナーがえらく気に入ってくれたのもあって、ちょっと旅行でも行ってきたらなんて提案をしてくれたのを2つ返事でOKした。問題はアンディだ。休みっつっても休まねぇアイツのことだか…

昼寝

「おかえり」「雪が降ってきました」「マジで」鼻、赤くなってる。と俺の肩に積もった雪をライアンが払う。「あーあ。手袋忘れたのかよ」握られた手の温度差で、予想以上に自分が冷え切っていることを思い知る。「あなたはいつも温かいですね」温められる手…

クレープ

「食う?」「いえ、甘いものはそんなに。食べるなら遠慮せずにどうぞ」そうつれない返事をされたから、クレープを1つだけ買った。苺とチョコと生クリームがたっぷり入ったそれは甘くて、見た目にもデートには最適なオプションだ。でも食べてんのは俺1人だ…

small fort

俺は今、珍しく反省している。世界が平伏すこの俺がだ。 昨夜いつもより飲んでいた自覚はある。その勢いのまま、声が聞きたくなってアンドリューに電話をした。酔って楽しい気分になると、愛しい恋人の声を聞きたくなるだろ?あれあれ。楽しそうで何よりです…

約束

「はー…」長く大きく吐かれた息が様々なもので濡れた自分の顔を掠め、やがて目の前の身体が被さってくる。少し重心をずらされてはいるものの、鍛えられた身体はその見た目からも予想出来る通り、重い。だがそれを訴えることも自分の身体をずらすことも出来な…

甘い朝

目覚める直前、睫毛が微かに震えてから緑の瞳が現れる瞬間を見るのが好きだ。 「今日も早ぇの」 起きてまずライアンはキスをする。彼にしたら挨拶程度のことだから自然なのだろうが、未だに俺は慣れなくて自然に受け入れられない。もちろん俺からなんて、出…

蒸しタオル

「ほら」さっきから何度も眼鏡を置いて眼を擦っていたのを見られたのか、目の前に蒸しタオルが差し出された。「ありがとうございます」だが受け取ろうとした手はかわされて「上向いて目閉じてろ」と言われる通りにしたら、目元にタオルを置かれた瞬間キスさ…

怪我

「いってーな、もっと優しくしてくれよ」その口調はいつも通りの威勢の良さなのに、顔を見ればこちらから視線を外し、少し目元が潤んでいるのがわかる。なんだか身体だけ大きなやんちゃ坊主の怪我の手当てをしている気分になり、思わずふと口元が緩んだ。

必然

長くない刑期を終えて新たな道を歩き始める日、眩しいほどに太陽が似合う男がそこにいた。「こんな偶然もあるんですね」記憶の中の彼とは少し変化があるものの、自信に満ちた表情は相変わらずで。「偶然なわけねーだろ。会いにきたんだから必然」差し出され…

相席ランチ

「あんた白いし細っこいし、ちゃんと喰ってんの?」昼時に休憩室に居ると、先日契約したばかりのヒーローに声をかけられた。眩いほどの存在に、自分とは住む世界の違う人なのだと最初から線引きをし、必要以上に関わろうとはしなかった彼に、向こうから踏み…

朝甘える

「おはようございます」「ん」「起きないんですか」「ん」「俺は起きます」「やだ」「朝食、食べないんですか」「食う」「なら起きましょう」「やだ」ベッドの上で朝ゴロゴロうだうだ甘えるライアン

寝起きのパーカー

肌寒さを感じて目が覚めた。横にいる存在に身体を寄せれば温かく、また瞼が下りてくるのが分かる。二度寝する時間も惜しく身体を起こし、着れるものを探し辺りを見回すと、目に入った黒のパーカーを手繰り寄せ羽織る。ここ最近はライアンもさすがに寒いのか…