Regulus

獅子秘書置き場

キス題

爪先

「ライアン?」愛しい彼女を肩に乗せてリビングのソファで寛ぐ姿を眺めるのが日常。だが今日は、冷蔵庫から菜っ葉を持って温室へと向かう姿を見てから、かれこれ1時間は経過している。ペットとの時間を楽しんでいるのかもしれないが、少し気になり温室へと…

足の甲

自室のベッドの上、肌寒くて目が覚めた。ぼんやりする視界の中では自分の裸の胸元が見え、そのまま顔を横向けると布団に丸まったアンドリューらしきもの。頭まですっぽり布団を被っているから僅かな明かりに光る銀髪も今は見えないが、視線を下ろしていくと…

夕食を終えて尚、就寝までの時間が遠い。こんなにゆっくり家で過ごすのは久しぶりで気が緩んだのか、お風呂一緒にどうですか、などとつい誘ってしまった。もちろん彼は断らない。男二人でも寛げるバスタブに向かい合って入って、ライアンは気持ち良さそうに…

常夏の国へ来て数日。カラっとした暑さの経験はあっても湿気を含む暑さは初めてのようで、身体に張り付く服が不快だと言っていた彼に、少しでも涼しくなればと自分が持っていたハーフパンツを貸してみた。ウエストサイズは調節出来るし、丈はもちろん問題な…

目覚ましが鳴って止めて起きる。その音に条件反射のように起きる自分はともかく、その音が聞こえないかのように睡眠を続行してる彼が、たまに羨ましい。音への反応が早くても寝起きがいいわけではない自分は、だるい頭と身体を無理矢理動かして、陽を浴びて…

ヒーローで鍛えてる自分と比べるべきじゃないが、アンドリューにだってそれなりに筋肉はついている。少食なわけでもない。俺と同じか、好きなメニューに関しては俺より食べる時だってある。それでも太くならないのは体質なんだろう。俺はそんなコイツの身体…

指先

ペットを撫でている時は夢中になっているから彼を観察しやすい。餌をあげたり、撫でたり、時には本当に通じあってるかのように何か喋っている姿を少し離れたところから眺めていると、二人を取り巻く雰囲気に癒される。 でも最近気づいたことがある。彼女は俺…

「ちょ、と、待ってくだ、…っ!」もう逃げ場は無いのに抱きしめた身体は往生際悪くそんなこと言うから、作られた身体の隙間を腕力の差でもって潰して、いっそ面倒だからこのまま担いでベッドに運ぼうとした時、俺の口に重ねた両手があてられた。「少しは、話…

手の甲

恭しく手をとられて、甲に口付けられる。その様は、まるで異国の王子様。 「なーに呆けてんの」キラキラした衣装、光を反射して更に輝く金髪、それらに劣らない宝石のような翠の瞳。「分かってはいましたが…似合いますね」「だろー?なんたって流離いの重力…

手首

「ぅ……待っ…!」苦しそうな声に目を開ければ、隣で寝ていたアンドリューが左手を宙に追い縋るように伸ばし、荒い息のまま呆然としていた。その瞳は大きく開かれていて、金の目からは耳に流れるように涙が数滴こぼれている。「大丈夫か」彼の視界に入るように…

太陽が昇り、明るくなり始めた室内を瞼の裏で感じて、ゆっくりと目を開ける。視界に入るのは、ベッドルームの天井と逞しい筋肉のついた肩。そこから上へ視線をあげると、首にかかる金髪と薄く開いた唇が見えてくる。毎朝きっと痺れているだろうに、いわゆる…

珍しく一緒にバスタイムOKをもらえた本日、俺はご機嫌で。アンドリューも機嫌が良さそうに見えたから、つい調子に乗ってしまった。「なんですか、じろじろと」「んー、いや、なんでそんな美味そうに立ってんのかなって」「ちょっ」風呂上り、バスローブの…

背中

「いってー!ちょ、もういいって」「ダメです。ろくに消毒もせずに帰ってきて」 掠り傷といえど全身に怪我を負ったライアンの手当てをどうして自宅のリビングでやっているのかと、俺は今、不思議でならない。出動の様子はチェックしていた。もちろん怪我を負…

首筋

抱き合って倒れこんだベッド、身体の下にいるアンドリューの微かに光る銀髪にたまらなくなって前髪や旋毛にキスをすると、首筋にキスが返ってくることがある。皮膚が薄いからか、急所のそこに触れられているからか、心の内にも身体全体にも広がるざわざわと…

ふわりと、いつもと違う匂いが鼻を擽った。スポンサーとの会食パーティーに揃って出席した後のホテルの部屋で、ライアンのジャケットを渡された時だ。「皺」口角を上げて指摘された眉間のそれを指で触れて解消すると、手にしたジャケットをクローゼットへと…

しようと思ったわけではなく、気づいたらしていた。今の行動はまさにそんな感じ。「なんかのご褒美?」嬉しそうに笑うライアンの頬にキスをしたのだと、こちらを見る緑の視線と目があって、ようやく我に返る。「…意外に柔らかい」聞かれたこととは全く関係な…

アンドリューとハニーが仲良さげに温室で引っ付いている。今やお互いすっかり慣れてハニーも機嫌良さそうに抱かれているが、それとは逆に俺は少し不機嫌だ。なんせハニーを抱いてる時はハニーしか相手にしないアンドリュー。当然、俺は放ったらかし。「アン…

鼻梁

整った鼻筋にキスをする。一回、二回、三回。ずれた眼鏡を一度外して再度かけなおそうとする手を握って動きを封じると、いつもは邪魔なガラスに遮られている瞳をクリアに見れることに少し充足感を得るがまだ足りない。薄く開いた唇に早くたどり着きたい気持…

はむ、とそんな音がしたと思ったら耳を甘噛みされた。今の俺の状況はベッドでアンドリューに押し倒されて、上を全部脱がされた状態。ジュニア君から送られてきたという酒だから、飲みすぎないことを条件に久しぶりに許可したらコレだ。普段飲ませないように…

「前髪下ろすと別人に見える」そう伝えたのは、かなり最初の頃だった記憶がある。風呂上り、ベッドの中、そして翌朝目覚めた時。落ちてこないよう、いつもサングラスで留めるようにしてる前髪が下りていると、どうしても一瞬怯んでしまう。「さすがにもう慣…

長時間タブレットと対面していて一区切りついたのか吐き出された小さな息を聞いて視線をそちらへ向ける。眼鏡を外して眉間を指で揉んでいるから、目のマッサージでもしているのだろう。自分用に淹れていたコーヒーをもう1つカップに注いで、ダイニングテー…

細くてサラサラに見えて意外にしっかりしてる銀髪に指を通して感触を楽しむ。少し伸びたそれをこうして弄ぶのが最近のお気に入りだ。「そろそろ切ろうかと」「んー…もう少しいいんじゃね?」「襟足が跳ねるんです」「なら尚更、もうちょい伸ばした方が跳ねな…