Regulus

獅子秘書置き場

2014-01-01から1年間の記事一覧

Late Christmas day

クリスマスだからといって事件や事故が起こらない訳じゃない。むしろ人が多く集まる町中などでは予想外の事も起こりやすく、出動の可能性が高くなる。ある程度予想と覚悟はしていたが、実際に要請がかかり、クリスマスのキャンドルやフラワーなどの装飾がさ…

your dream

その日の目覚めは最悪だった。ライアンが俺の腕の中で消えていき、自分自身もやがて消えていく夢。思わず飛び起きて顔に手をやると大量の冷や汗。それが徐々に冷えて寒気を感じるほど室内の空気も冷えていて、このままではダメだと着替えるべくクローゼット…

Come from the moon

ほんの冗談のつもりだった。「俺は、月から来たんです」どんな反応が返ってくるか試したかっただけ。そんなわけないだろと笑って、ですよね、と終わるはずだった会話。なのに。「やっぱな。アンタの髪の色、月の色みたいだし」伸ばされた指は優しく銀の髪を…

表情20題 11~20

11-むすっ (V視点)機嫌を損ねてしまった。分かり易くむすっとした顔を見て、謝まらなければいけないのに思わず笑ってしまった俺に、じっとりとした視線が向けられる。外では俺様な態度を装っていても、内ではこんな表情も隠すことなく見れる。それが嬉しくて…

表情20題 1~10

◆ライアン視点から始まって、ヴィルギルとの交互になっています。 1-微笑以前は笑った顔なんか数えるほどしか見たことなかったのに、今じゃすっかりその表情は柔らかくなった。といってもその変化に気付くのはおそらくまだ自分だけ。口を大きく開けて笑うの…

一日一獅子秘書 まとめ

◆ヴィルギル視点から始まって、ライアンとの交互になっています。 肩を抱き寄せたきりライアンは何も話さず、ただギリギリとその手に力を込めていく。「思いつかねー」「何がです」「アンタへ気持ちを伝えられる最適の言葉」痛くなってきた腕から力を抜くよ…

Trick but Treat

その日帰宅したライアンは、おそらくケーキが入ってるであろう白い箱を片手に持っていた。 「美味しそうなものでもありました?」 楽しそうな表情に思わず尋ねると、よくぞ聞いてくれたといわんばかりに顔を輝かせる。 「懐かしいもの見つけたんだ」 おかえ…

Automaton clock

誕生日前日。明日は休みもとった。何も事件が起こらなければ、今夜から恋人とゆっくり過ごせるはずなのに、肝心の彼は夕方から部屋に篭りっきり。夕飯にも出てこなかった。おかげでバースデー前日なのに寂しい夕食になった。本番は明日だからと言われればそ…

30日CPチャレンジ 21~30

【奇数ライアン視点・偶数アンドリュー視点】 21-料理/お菓子作り簡単なレシピを見つけたので彼に見せて作ってもらおうかと思ったが、いくつか足りない材料を帰りに買って、今日は俺が作ることにした。混ぜて焼くだけの手間もかからないそれらをオーブンに入…

ワッフル

駅前に新しい店が出来ているのを見かけた。近づいてショーケースを覗くと、種類が豊富で食べたことのないフレーバーもあり、少しワクワクした気分でいくつかを買って詰めてもらった箱を片手に帰宅すると、遅くなると言って出かけていたはずのアンドリューが…

再会 3

薄っすらと空が白み始めた頃に、ふと目が覚めた。何もしないのに一緒のベッドで眠るライアンの自分より高い体温は素直に気持ちがいい。向かい合って寝顔を見ていると、最後にシュテルンビルトで見た時より年を重ねたことを感じるが、やはり自分よりは若いの…

30日CPチャレンジ 11~20

【奇数ライアン視点・偶数アンドリュー視点】 11-きぐるみを着て大きなライオンの着ぐるみを着て、何も知らない銀髪の彼に近づく。渡そうとする風船を受け取っていいものか戸惑う表情は予想通り。「アンタは特別」ハートの形のそれを押し付けて、獅子の頭を…

30日CPチャレンジ 1~10

【奇数ライアン視点・偶数アンドリュー視点】 1-手をつなぐポケットにも入れず、何かを掴みたいのを諦めるように握ったり開いたりする仕草はきっと無意識なのだろうと、気づかないフリをしていた以前と違い、今は簡単に取ってやれるその手を握りしめて指を絡…

ハーフ 4

「嫌って……駄々っ子かよ。18歳のアンドリューくんよ」口元は笑ってるのに、全く笑っていないライアンの視線が真っ直ぐ突き刺さる。ここにきて初めての子供扱いと、ライアンの纏う雰囲気が変わったのを感じ取り、背筋が凍るような感覚に陥った。「初めてだ?…

ナイトメア

薄く開いたベッドルームのドアの向こうから、微かに声が聞こえた。 「……?」 自分がシャワーに入ってる間に眠ってしまったライアンが、ベッドの上で苦しそうな声を出している。目は瞑っているので、魘されているのだろう。 (悪い夢の時は……起こした方がいい…

ハーフ 3

「ちゃんと全部調べてもらった?」落ち着いたのを見計らってソファに座らされ、ライアンが淹れてくれたカフェオレの入ったマグカップを受け取った。聞いたことのない能力にかかった俺を心配しているのか、ライアンの声が少し鋭いものになる。「病院で全部み…

ハーフ 2

指紋認証で開く玄関を開けて中に入ると、廊下の向こうに見えるリビングに明かりが灯っているのを確認して、後ろ手に鍵を閉めて靴を脱ぐ。帰ってきたことに気付いたであろうライアンがリビングのドアを開ける。「おかえり、遅かった」な、と言った口の形のま…

スイート&ビター

腹減ったなーと言ってみると、作業中のタブレットからこちらを一瞬見て視線を戻す。 スルーはしていないという意思表示のつもりだろうが構ってくれないなら同じだ。 朝起きる時に甘い匂いがしていた、あれはきっとクッキーか何かだ。 朝飯も昼飯も終わったの…

ハーフ

「半分、ですか」病院のベッドの上で目覚めた俺は、聞いた話も鏡に映る自分の姿にすら、すぐには信じられなかった。 出所してライアンのマネージャーになって数年。この国でライアンが契約しているオーナーの会社へ出向いた帰り、何やら騒がしい街中に疑問を…

再会2

俺を買う、しかもこれからの未来ごと買うと言ったライアンの言葉を簡単に信じることの出来ない俺は、ひとまずライアンのバカンスが終わるまで、このホテルの部屋で世話になることになった。一緒に寝て、一緒に食事をして、ショッピングに付き合ったりして、…

5つの代わり

1-抱き枕代わり(V視点) 抱き枕代わりにされているな、と思うことがある。寝入った後でも緩まない腕の強さに身動きが取れないまま寝てしまうことがほとんどだが、今夜は違う。疲れていたのか、俺の身体から離れた腕がベッドの上へ沈んでいるのを確認して…

温もりに泣きたくなった

金髪だというだけでライアンを思い出してしまうぐらいには、意識しているのだろうと自覚したものの、向こうが近づいてくるから意識せざるを得ないのだと、すり替えて思い込むようにしていた。 小さな贈り物をされてから、構われる頻度が極端に減ったようにも…

言われて浮かんだのはあの顔

「ここ空いてますか」 アポロンメディア社近くのカフェ。ランチ時は混雑するが、俺が来る時は大概時間が外れているから、いつもゆっくり出来る。 そんな場所で、まさか自分に声が掛けられていると思わず、どこかで聞いた声だなと他人事のように思っていたら…

なぜだかとても落ち着かない

ライアンにもらったカフスをその場で捨てられず、ジャケットのポケットに入れたままにして、気がつけば数日。忘れていたとはいえ数日でも所有してしまうと、捨てるのが更に躊躇われるようになってしまった。 (装飾品なんて……女性にあげたらすぐにつけてもら…

好みじゃないプレゼントが嬉しい

ライアンがシュテルンビルトへ来てからというもの、やけに構われるようになった。 周りに知ってる人がいないから案内役が欲しいのかと、最初こそ一緒に食事をすることも何回かあったが、数日が過ぎても声が掛けられる頻度は減らず、むしろ多くなってきている…

やけに格好良く見えた

新しいヒーローが必要だとシュナイダーが口にしてから、 彼との契約を任されて異国まで行った日。 待ち合わせたホテルのラウンジで待っていると、一際目立つオーラを放ちながら自信が満ち溢れた歩き方でエントランスをくぐってくる人物に目を惹かれた。 それ…

drunk

酒にあまり強くないと知っているから、アンドリューには飲ませないようにしている。けれど、酒自体が嫌いじゃないアンドリューは飲みたい気分の時もあるようで、それを全部禁止するのはどうかと思うから時々宅飲みを提案してみるのだが、今日は外で飲みたい…

愛しいと気づいた

「ヤバイ」 「なんですか急に。書類間に合わなくても手伝いませんよ」「俺やることはきっちりやる男だぜ。知ってるだろ?」「この前のは驚きました」「だっろー?」出来てないだろうと思われていた書類が実はもう完成していて、直後に提出してジュニア君を驚…

この時が続いてほしいと願った

「あ、帰ってきてる」出張で数日見かけなかった姿を社内の廊下で見つけて、思わず声をかけた。ヴィルギルから返事はなく、着てるジャケットには少し皺が寄っている。「出張行ってたって?」「あなたとバーナビーさんにも伝えたはずですが」「聞いたけど忘れ…

再会

シュテルンビルトの事件から十数年。軽くなった刑期を終えて外に出たその日は、アンドリューの心とは裏腹にどこまでも晴れた天気だった。雲一つ無い青空を一瞬仰ぎ見て、すぐに地面へと視線を向ける。何一つこれからの希望や目標が見出せない。絶望的な無気…