Regulus

獅子秘書置き場

恋の始まり5題

愛しいと気づいた

「ヤバイ」 「なんですか急に。書類間に合わなくても手伝いませんよ」「俺やることはきっちりやる男だぜ。知ってるだろ?」「この前のは驚きました」「だっろー?」出来てないだろうと思われていた書類が実はもう完成していて、直後に提出してジュニア君を驚…

この時が続いてほしいと願った

「あ、帰ってきてる」出張で数日見かけなかった姿を社内の廊下で見つけて、思わず声をかけた。ヴィルギルから返事はなく、着てるジャケットには少し皺が寄っている。「出張行ってたって?」「あなたとバーナビーさんにも伝えたはずですが」「聞いたけど忘れ…

いないと寂しいなと思った

同じ会社にいるはずなのに全く見かけない日だってままある。 けれど、それが数日となると気にしすぎなくらい落ち着かない。 「あの秘書サン、最近見なくね?」 隣でカタカタとテンポよくキーボードを打っているジュニア君に問いかける。 話しかけて手をとめ…

いい奴だなと思った

「大丈夫ですか」 ジュニア君と出動して、トランスポーターに乗って昼過ぎに社へ戻ってきて、好きじゃない事務処理をする前に一度休憩しようと廊下へ出ると、向こうから歩いてきたヴィルギルが小さな声で言った。 「何が?」 「怪我、してたでしょう」 怪我…

放っとけないと思った

クールそうに見えて意外と。 そんなお約束的な展開だと気づいたのは、オーナーの見えないところでは強く刻み込んだヴィルギルの眉間の皺が、オーナーが振り返った時には消えていた時だった。 忠実に、心からの忠誠を誓っているのではないらしい。 そう気づい…