Regulus

獅子秘書置き場

もしも話で20題

01:性別が違ったら 「アンディが女だったら?いい女だなーくらいでスルーしてたかも」考えこむこともなく、さらりと言われた言葉に繕った部分は見当たらず、予想していた彼らしい返答そのもの。試すようなことを聞いて悪かったと謝ると「じゃあ反対に俺が女…

1年365日のお題-3月

01 馬子にも衣装新しい依頼主と初めて会うのと、その後にパーティーもあると聞いて、俺はもちろんアンドリューにもいつもより着飾ってもらった。こんな格好は君だけでいいという視線と、俺にしか分からないような溜息ばかりついている。元がいいから何着ても…

1年365日のお題-2月

01 人の夢は儚いの?人が見る夢は儚いと聞いて、確かにそうかもしれないと自身に突き刺さる。これからに希望を抱いてもそれは勝手な期待でしかない。離すつもりはないと言われているが、人間の気持ちはすぐに逆転するほど脆いものだということも痛いほど分か…

1年365日のお題-1月

01 今年の抱負、いってみましょう!やり残したことは無いと年が明ける前に聞いたから、今度は「今年やりたいこと」だ。つい数日前に同じような質問をされたとアンドリューは苦笑いするが、どんな小さなことでも、やりたいことが無いなら抱負でもいい、明日や…

1年365日のお題-12月

01 ラストスパート!撮影の仕事終わりに出動が入り更にもう一件。見上げると空が白んでいた。今からだと見れるのは寝顔か起き抜けの顔か。ヒーロー業の最中でもアンドリューのことを考えてると知られたら、きっと彼は怒るだろう。そんな顔を想像しながら、仕…

happy Christmas time

クリスマスまであと二日。 数ヶ月前から訪れているこの国でも聖誕祭ムードがピークになりつつある。イルミネーションやラッピングで賑わう町並みに、どこかワクワクしてしまうのは子どもの頃から変わらない。 イブと当日は互いに仕事の都合で予定が合わない…

1年365日のお題-11月

01 可愛い我侭昨日は結局大きめのカボチャを用意するだけで終わってしまった。てっきり仮装するかと予想してたから残念、見たかったなと言われたら、アンドリューに色々着せたかったなんてことを言うには気が削がれてしまった。来年はちゃんと仮装の用意をし…

1年365日のお題-10月

25 偽りの私信念を貫いて生きてきたはずなのに自身が分からなくなる時がある。どこまでが、あるいはどこからが本当の自分なのか。そんなことに悩んでいると、見透かされたように眉間の皺を伸ばされる。「俺にしたら全部アンディだけどな」その一言で、悩むこ…

Kiss before sleep

おやすみ。 そう言って唇にキスをすると、アンドリューの身体は決まって強張ってしまう。 挨拶だとこちらが言っても、習慣が無い相手にしたらそれは挨拶には取れず、徐々に自分のしていることが嫌がらせのように思えてくるから困ったものだ。かと言って、慣…

『通販申込』

ー通販可能リストー 「Colors」A5/64ページ/800円/ノベルティ付き/合同誌 Rising数年後、一緒に暮らし始めた獅子秘書の一年を漫画+小説で交互に追う話。 執筆者(漫画--久慈ケイ・東大和・冬路ジン)(小説--カヅキ・夏紡・さくや) 「SUMMER DAYS」A5/20ページ…

ティータイム

原因は何だったか、すぐに忘れてしまうくらい些細なケンカをした。 些細と思ってるのはこちらだけで、向こうは意外と根に持ってるかもしれない。だからこそ少し離れた方がいいかもしれないと、黙って家を出た。散歩でもしてるうちに落ち着くかもしれない。俺…

capelli

「切ってやろうか」 振り向いた俺に、ライアンは髪を切る仕草をしてみせる。 確かに伸びて鬱陶しかったのもあるし、気温が上がり始めて憂鬱になっていたのも事実だが。 「…君が?」 「不満?」 不満というよりは不安に近いが、ライアンのことだ。少なからず…

最後の雨

「アンタ雨の日はいつもここにいるよな」 霧雨が降る夜、社外近くの公園の隅のベンチに座っていると、ふと後ろから声を掛けられた。 「…ゴールドスミス」 「傘もささずにこんなとこにいるとさ、目立つんだよな」 さして濡れてもいないベンチへ音を立てて座り…

Rainy voice

雨が降っている。 しとしと降り注ぐ雨音は静かで、それでいてどこか歌っているように聞こえるから不思議だ。 「アンディ?」 やけに静かなリビングのソファに座っている背中に声を掛けるが返事は無い。隣へ座ろうと一度前に回りこんで顔を覗くと、銀の睫に縁…

Sleeping lover

急に暑くなった気温に耐えられなくなったアンドリューからアクアリウムに誘われたのが数週間前。 イルカの新しいナイトショーが始まると知って、もう一度行こうと今後は俺から誘うと、待ってましたと云わんばかりに瞳を輝かせて頷いた。どうやら同じニュース…

Jealousy to bear

春から夏へと移り変わる季節。 四季のある今の国で、ここ数日で急激に上がった気温に身体がついていかないのか、銀髪の恋人は心なしか機嫌が悪いように見える。 涼しい国へと旅行に行こう、などと提案出来るほどスケジュールは空いておらず、しかし自分も含…

Happy Promise

片手より少し大きめの金色の箱。 彼のファミリーネームのような眩しい色に、色味の抑えた赤いリボンが巻かれているそれを渡されて、何だとライアンの顔を見る。「何って、今日、バレンタイン」 開けてとの言葉に促されてスルリとリボンをほどき箱の蓋を持ち…

獅子秘書お題 01

V-ヴィルギル視点、R-ライアン視点 初めは慣れなかった自分より高い体温。それが今では無意識に触れてしまうほど、欲する熱に変わった。その温度は幸せすら感じられて、今では手を伸ばせば容易く包まれる。いつか溶けてしまえたらいいとすら思うほどに。V-…

リング

---side R渡せずにいる物がある。随分前にペアで買ったものの、いざ渡した時の事を想像すると、どうしてか悪い方向ばかりに考えてしまって、渡すタイミングを見失っている。困った顔をされたらどうしよう。迷惑と感じても、きっと彼は遠慮して口にしないだろ…

不器用な君と5題

全てライアン視点 1-容易く手に入れたものではないのだから、容易く手放すわけがない「早めに手放した方があなたのためです」久しぶりに頭に血が上るのが分かった。想いが通じて一緒にいるはずなのに、信用されていないどころか突き放すような言い方。ものす…

favorite smell

「新しいのが欲しいんですが、どこに行ったら買えますか」シャワーから上がったアンドリューに渡された空のプラスチックボトル。それは以前、出張で泊まったホテルで気に入って買ってきたシャワージェルだった。俺が買ってきたものをたまに使うことはあって…

休日の食事

時間にゆとりのある休日。特に急ぐ書類作成もないし、本当にゆっくり出来る休みだ。アンドリューも夕方には帰ってくると言っていたから、早めの夕飯を取り、普段はあまり飲むなと抑制している酒を飲む時間を作るのもいい。「よし、準備するか」買い物に行っ…

One year

「一年だな」ガラス越しにライアンから告げられた言葉に、視線を合わせることが出来なくて膝に置いた手を眺めるように伏せていた顔を少し上げる。思考を巡らすまでも無い、自分の起こした事件から一年目の今日。もう、なのか、まだ、なのか。どちらとも決め…

Eye Color

休暇に実家に行って、母が見せた俺の幼少時代のアルバムを余程気にいったのか、一冊アンドリューが荷物に入れたのは知っていたが、帰ってきてからも夕食後に毎日それをめくっている。そんなに何度も見るほど珍しいものだろうか。「なぁ、楽しい?」「楽しい…

Doze

朝の光が薄っすらとカーテンを照らす朝。彼は気だるげな動きでゆっくりと腕をシーツに突っ伏して上半身を起こし、やがて片手を前髪へと差し込む。しばらくしてから眉間を指で摘むようにして瞳を薄く開くと、辺りを見回す。探していた眼鏡を見つけると指を伸…

photograph

彼から送られてくる数枚の手紙と、倍以上の厚さの写真達。さすらい王子の名前通り、行き先が変わる度に違った風景や建物が写っている。人物などは出来るだけ外して撮られているそれに、稀にライアン自身のものだろう手や髪が写りこんでいることがある。本人…

風邪ひきさんへのお題 5.お大事に

翌朝、よく寝たと爽快な顔で背伸びをしながら起きてリビングへ入ってきたライアンへ、くしゃみで返事をした。「……うつした?」片眉を下げて、口は半笑い。申し訳ないと思っているのか、あれぐらいでうつった俺を笑いたいのか、半々か。「必要以上に近寄り過…

風邪ひきさんへのお題 4.握られた手

シャワーに入りサッパリしたと言いながら新しい寝間着に着替えてベッドに横になり五分。俺の片手を握ったかと思えば、そのまま寝入ってしまったライアンは、軽く揺すっても起きないほどだ。入浴といえど体力を使って限界なのだろう。しかし。(そんな愛しそ…

風邪ひきさんへのお題 3.うさぎさんりんご

「うぉ、すげぇ」皿に乗っている不恰好ながらも兎の形に切ったリンゴを見てライアンが声をあげた。「全部やってたら色が変わってしまいそうだったから、1つだけど」だいぶ顔色の良くなってきたライアンを喜ばすには1つで十分。というのは建前で意外と切る…

風邪ひきさんへのお題 2.水分補給

アイスを食べたライアンが寝入ってから数時間。薬が効いているか様子を見に行こうと寝室のドアを開けると、ぱちりと開いた目が部屋へ入ったばかりの俺の視線とかち合った。「具合どうですか」枕元のライトでうっすら見える瞳が少し潤んでいるのが見てとれて…