Regulus

獅子秘書置き場

短め

「俺アンタの手が好き」「手、ですか?」思わず自分の片手を持ち上げてじっと眺める。至って普通の手だとは自分では思うのだが。「自分で見たって分かるわけねーだろ。俺が見るからいいんだよ」「はぁ」横から俺の片手を奪うように握って、両手でにぎにぎと…

long

「伸びたなー」「あなたが切るなと」「言った言った。だって勿体無いじゃん」出所した時は前よりも短髪だったのに、今じゃすっかり肩下まで伸びた銀髪を指に絡めて楽しむ。色も手触りも最高。家にいる時は邪魔だからって後ろでまとめてるからうなじが見える…

どちらでも

「あーんつってんのに、してくんなかった」デザートのアイスを食べていた時、ライアンが拗ねた。俺に食べさせてもらうのが好きなのかよくこちらを向いて口を開けているが、あいにくそんな上手く1口大に切れる料理の時ばかりでも無いし、こうも頻度が高いと…

キャロット

オレンジ色の美味しそうな野菜。食べれない訳じゃない、必要以上に甘くなるこの調理方法が気にいらないだけだ。「また残してる」レストランで対面に座ったアンドリューが呆れたように笑うのが嫌でも視界に入る。仕事帰り、好きなレストランに来て好きなステ…

Not dream

夢を見てるのかと思うほど、信じられなかった。「したい」聞こえた言葉が自分の希望通りに捉えていいものか分からず、俺は手を止めて口を開けてスマホ越しにアンディを見た。ソファに座ってる俺の肩すぐ後ろの背もたれに片手をついて近づく表情は全くいつも…

怪我

「いってーな、もっと優しくしてくれよ」その口調はいつも通りの威勢の良さなのに、顔を見ればこちらから視線を外し、少し目元が潤んでいるのがわかる。なんだか身体だけ大きなやんちゃ坊主の怪我の手当てをしている気分になり、思わずふと口元が緩んだ。

蒸しタオル

「ほら」さっきから何度も眼鏡を置いて眼を擦っていたのを見られたのか、目の前に蒸しタオルが差し出された。「ありがとうございます」だが受け取ろうとした手はかわされて「上向いて目閉じてろ」と言われる通りにしたら、目元にタオルを置かれた瞬間キスさ…

朝甘える

「おはようございます」「ん」「起きないんですか」「ん」「俺は起きます」「やだ」「朝食、食べないんですか」「食う」「なら起きましょう」「やだ」ベッドの上で朝ゴロゴロうだうだ甘えるライアン

必然

長くない刑期を終えて新たな道を歩き始める日、眩しいほどに太陽が似合う男がそこにいた。「こんな偶然もあるんですね」記憶の中の彼とは少し変化があるものの、自信に満ちた表情は相変わらずで。「偶然なわけねーだろ。会いにきたんだから必然」差し出され…