Regulus

獅子秘書置き場

2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

5つの代わり

1-抱き枕代わり(V視点) 抱き枕代わりにされているな、と思うことがある。寝入った後でも緩まない腕の強さに身動きが取れないまま寝てしまうことがほとんどだが、今夜は違う。疲れていたのか、俺の身体から離れた腕がベッドの上へ沈んでいるのを確認して…

温もりに泣きたくなった

金髪だというだけでライアンを思い出してしまうぐらいには、意識しているのだろうと自覚したものの、向こうが近づいてくるから意識せざるを得ないのだと、すり替えて思い込むようにしていた。 小さな贈り物をされてから、構われる頻度が極端に減ったようにも…

言われて浮かんだのはあの顔

「ここ空いてますか」 アポロンメディア社近くのカフェ。ランチ時は混雑するが、俺が来る時は大概時間が外れているから、いつもゆっくり出来る。 そんな場所で、まさか自分に声が掛けられていると思わず、どこかで聞いた声だなと他人事のように思っていたら…

なぜだかとても落ち着かない

ライアンにもらったカフスをその場で捨てられず、ジャケットのポケットに入れたままにして、気がつけば数日。忘れていたとはいえ数日でも所有してしまうと、捨てるのが更に躊躇われるようになってしまった。 (装飾品なんて……女性にあげたらすぐにつけてもら…

好みじゃないプレゼントが嬉しい

ライアンがシュテルンビルトへ来てからというもの、やけに構われるようになった。 周りに知ってる人がいないから案内役が欲しいのかと、最初こそ一緒に食事をすることも何回かあったが、数日が過ぎても声が掛けられる頻度は減らず、むしろ多くなってきている…

やけに格好良く見えた

新しいヒーローが必要だとシュナイダーが口にしてから、 彼との契約を任されて異国まで行った日。 待ち合わせたホテルのラウンジで待っていると、一際目立つオーラを放ちながら自信が満ち溢れた歩き方でエントランスをくぐってくる人物に目を惹かれた。 それ…

drunk

酒にあまり強くないと知っているから、アンドリューには飲ませないようにしている。けれど、酒自体が嫌いじゃないアンドリューは飲みたい気分の時もあるようで、それを全部禁止するのはどうかと思うから時々宅飲みを提案してみるのだが、今日は外で飲みたい…

愛しいと気づいた

「ヤバイ」 「なんですか急に。書類間に合わなくても手伝いませんよ」「俺やることはきっちりやる男だぜ。知ってるだろ?」「この前のは驚きました」「だっろー?」出来てないだろうと思われていた書類が実はもう完成していて、直後に提出してジュニア君を驚…

この時が続いてほしいと願った

「あ、帰ってきてる」出張で数日見かけなかった姿を社内の廊下で見つけて、思わず声をかけた。ヴィルギルから返事はなく、着てるジャケットには少し皺が寄っている。「出張行ってたって?」「あなたとバーナビーさんにも伝えたはずですが」「聞いたけど忘れ…

再会

シュテルンビルトの事件から十数年。軽くなった刑期を終えて外に出たその日は、アンドリューの心とは裏腹にどこまでも晴れた天気だった。雲一つ無い青空を一瞬仰ぎ見て、すぐに地面へと視線を向ける。何一つこれからの希望や目標が見出せない。絶望的な無気…

いないと寂しいなと思った

同じ会社にいるはずなのに全く見かけない日だってままある。 けれど、それが数日となると気にしすぎなくらい落ち着かない。 「あの秘書サン、最近見なくね?」 隣でカタカタとテンポよくキーボードを打っているジュニア君に問いかける。 話しかけて手をとめ…

いい奴だなと思った

「大丈夫ですか」 ジュニア君と出動して、トランスポーターに乗って昼過ぎに社へ戻ってきて、好きじゃない事務処理をする前に一度休憩しようと廊下へ出ると、向こうから歩いてきたヴィルギルが小さな声で言った。 「何が?」 「怪我、してたでしょう」 怪我…

放っとけないと思った

クールそうに見えて意外と。 そんなお約束的な展開だと気づいたのは、オーナーの見えないところでは強く刻み込んだヴィルギルの眉間の皺が、オーナーが振り返った時には消えていた時だった。 忠実に、心からの忠誠を誓っているのではないらしい。 そう気づい…