Regulus

獅子秘書置き場

無配

Rainy voice

雨が降っている。 しとしと降り注ぐ雨音は静かで、それでいてどこか歌っているように聞こえるから不思議だ。 「アンディ?」 やけに静かなリビングのソファに座っている背中に声を掛けるが返事は無い。隣へ座ろうと一度前に回りこんで顔を覗くと、銀の睫に縁…

Sleeping lover

急に暑くなった気温に耐えられなくなったアンドリューからアクアリウムに誘われたのが数週間前。 イルカの新しいナイトショーが始まると知って、もう一度行こうと今後は俺から誘うと、待ってましたと云わんばかりに瞳を輝かせて頷いた。どうやら同じニュース…

Jealousy to bear

春から夏へと移り変わる季節。 四季のある今の国で、ここ数日で急激に上がった気温に身体がついていかないのか、銀髪の恋人は心なしか機嫌が悪いように見える。 涼しい国へと旅行に行こう、などと提案出来るほどスケジュールは空いておらず、しかし自分も含…

Happy Promise

片手より少し大きめの金色の箱。 彼のファミリーネームのような眩しい色に、色味の抑えた赤いリボンが巻かれているそれを渡されて、何だとライアンの顔を見る。「何って、今日、バレンタイン」 開けてとの言葉に促されてスルリとリボンをほどき箱の蓋を持ち…

Eye Color

休暇に実家に行って、母が見せた俺の幼少時代のアルバムを余程気にいったのか、一冊アンドリューが荷物に入れたのは知っていたが、帰ってきてからも夕食後に毎日それをめくっている。そんなに何度も見るほど珍しいものだろうか。「なぁ、楽しい?」「楽しい…

Trick but Treat

その日帰宅したライアンは、おそらくケーキが入ってるであろう白い箱を片手に持っていた。 「美味しそうなものでもありました?」 楽しそうな表情に思わず尋ねると、よくぞ聞いてくれたといわんばかりに顔を輝かせる。 「懐かしいもの見つけたんだ」 おかえ…

8/24 スパコミ関西無配

南国ビーチでのモデルの仕事が入ったので、丁度いいとばかりに休暇を取り、続けてバカンスを楽しむ。もちろんアンドリューも一緒。むしろそれが本来の目的だ。休暇が取れて旅行でもとなった時、行き先の希望を尋ねると彼は決まって「暖かいところ」と言うか…

6/1 大阪グラキス無配

「ただいま」「お疲れ様でした。…ゴールデン・ライアン」帰宅して、最初にかける一言は決めていた。世界中の国を渡って、長年ヒーローとして活躍してきた彼の能力が徐々に衰え始めた時から、この日は既に彼の中で想定内だったのだろう。彼はとても穏やかな表…