Regulus

獅子秘書置き場

2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

爪先

「ライアン?」愛しい彼女を肩に乗せてリビングのソファで寛ぐ姿を眺めるのが日常。だが今日は、冷蔵庫から菜っ葉を持って温室へと向かう姿を見てから、かれこれ1時間は経過している。ペットとの時間を楽しんでいるのかもしれないが、少し気になり温室へと…

足の甲

自室のベッドの上、肌寒くて目が覚めた。ぼんやりする視界の中では自分の裸の胸元が見え、そのまま顔を横向けると布団に丸まったアンドリューらしきもの。頭まですっぽり布団を被っているから僅かな明かりに光る銀髪も今は見えないが、視線を下ろしていくと…

夕食を終えて尚、就寝までの時間が遠い。こんなにゆっくり家で過ごすのは久しぶりで気が緩んだのか、お風呂一緒にどうですか、などとつい誘ってしまった。もちろん彼は断らない。男二人でも寛げるバスタブに向かい合って入って、ライアンは気持ち良さそうに…

常夏の国へ来て数日。カラっとした暑さの経験はあっても湿気を含む暑さは初めてのようで、身体に張り付く服が不快だと言っていた彼に、少しでも涼しくなればと自分が持っていたハーフパンツを貸してみた。ウエストサイズは調節出来るし、丈はもちろん問題な…

目覚ましが鳴って止めて起きる。その音に条件反射のように起きる自分はともかく、その音が聞こえないかのように睡眠を続行してる彼が、たまに羨ましい。音への反応が早くても寝起きがいいわけではない自分は、だるい頭と身体を無理矢理動かして、陽を浴びて…

photo

どうしてそんなとこに置いたのか、今では思い出せないけれど。手の届かない場所にあるその箱に、俺が今、必要としてるものが入っている。ステップを持ってくれば話は早いのだが、「…」あそこに手が届く人間がすぐそばにいるのと、助けを求める方が喜ぶとだろ…

サイズ違い

寝る時ぐらいいいだろ、とお揃いで買って渡された服。ペアルックとかそんな可愛いものではない、ただのシンプルな黒いTシャツだが、ライアンと俺では1サイズ違う。間違えないようにと確認したはずが、シャワーを浴びて初めて袖を通したそれはライアンのサ…

0721

「なぁ」「しません」「なぁって」「しませんって」このやりとりをかれこれ10分程続けている。「なんでだよ」「なんでって、逆にライアンは…」「する。アンディが言うなら」「…でしょうね」がっくりと項垂れて、ずれた眼鏡を顔ごと上げる。「あなたは出来…

ヒーローで鍛えてる自分と比べるべきじゃないが、アンドリューにだってそれなりに筋肉はついている。少食なわけでもない。俺と同じか、好きなメニューに関しては俺より食べる時だってある。それでも太くならないのは体質なんだろう。俺はそんなコイツの身体…

指先

ペットを撫でている時は夢中になっているから彼を観察しやすい。餌をあげたり、撫でたり、時には本当に通じあってるかのように何か喋っている姿を少し離れたところから眺めていると、二人を取り巻く雰囲気に癒される。 でも最近気づいたことがある。彼女は俺…

脈動

ドク、ドク、と触れてる手すら弾いてしまうかのような脈動が体内から伝わる。これは何だ。緊張か焦りか、それとも。「どっか痛いのか」胸を押さえてる姿を見られ、心配な声をかけられる。「いえ、痛くは…ただ音がすごくて」「音?」彼の手を取って、自分の心…

kidding

※会話分のみ ずるいと思いませんか何がいつも俺ばかり見られて不公平じゃないですか見られてって…じゃあ見てればいいじゃんそれが出来たらこんなこと言いませんじゃあ襲ってみる?…。冗談です余裕無くなる自分が嫌なんですいいじゃん、俺がうまいってことだ…

「ちょ、と、待ってくだ、…っ!」もう逃げ場は無いのに抱きしめた身体は往生際悪くそんなこと言うから、作られた身体の隙間を腕力の差でもって潰して、いっそ面倒だからこのまま担いでベッドに運ぼうとした時、俺の口に重ねた両手があてられた。「少しは、話…

手の甲

恭しく手をとられて、甲に口付けられる。その様は、まるで異国の王子様。 「なーに呆けてんの」キラキラした衣装、光を反射して更に輝く金髪、それらに劣らない宝石のような翠の瞳。「分かってはいましたが…似合いますね」「だろー?なんたって流離いの重力…

手首

「ぅ……待っ…!」苦しそうな声に目を開ければ、隣で寝ていたアンドリューが左手を宙に追い縋るように伸ばし、荒い息のまま呆然としていた。その瞳は大きく開かれていて、金の目からは耳に流れるように涙が数滴こぼれている。「大丈夫か」彼の視界に入るように…

太陽が昇り、明るくなり始めた室内を瞼の裏で感じて、ゆっくりと目を開ける。視界に入るのは、ベッドルームの天井と逞しい筋肉のついた肩。そこから上へ視線をあげると、首にかかる金髪と薄く開いた唇が見えてくる。毎朝きっと痺れているだろうに、いわゆる…

珍しく一緒にバスタイムOKをもらえた本日、俺はご機嫌で。アンドリューも機嫌が良さそうに見えたから、つい調子に乗ってしまった。「なんですか、じろじろと」「んー、いや、なんでそんな美味そうに立ってんのかなって」「ちょっ」風呂上り、バスローブの…

背中

「いってー!ちょ、もういいって」「ダメです。ろくに消毒もせずに帰ってきて」 掠り傷といえど全身に怪我を負ったライアンの手当てをどうして自宅のリビングでやっているのかと、俺は今、不思議でならない。出動の様子はチェックしていた。もちろん怪我を負…

Relief

R

いつも触れたい、感じたい、欲しいと思っているけれど、その感情が半端なく跳ね上がる瞬間がある。「ん、あっ、んんっ」特別何か良いことや悪いことがあった訳でも、満月だからとかいった訳でもない。行為の始めすらいつも通りなのに、途中からただひたすら…

七夕

七夕、織姫と彦星、天の川。年に一回しか会えない恋人達の御伽噺。 「年一とか無理だわ」ぼそりとライアンが呟く。「俺が刑務所に居た時はそんな感じでしたね」「アンタは会いに行けば会えたし。雨降ったらその一回ですら会えないんだぜ、こいつら」やっぱ無…

Lost

※ヴィルギルが記憶喪失 「犯人は記憶を操るNEXTだそうです」忌々しげな口調でそう言ったジュニア君と俺の視線の先には、厳重に警戒された部屋で医師や科学者達に囲まれてベッドに座っているアンドリューの姿があった。数年越しにシュテルンビルトに戻ってき…

首筋

抱き合って倒れこんだベッド、身体の下にいるアンドリューの微かに光る銀髪にたまらなくなって前髪や旋毛にキスをすると、首筋にキスが返ってくることがある。皮膚が薄いからか、急所のそこに触れられているからか、心の内にも身体全体にも広がるざわざわと…

mother

とある休日の朝。 「ライアンの家の住所を教えてもらえませんか」いつものようにヨーグルトに色とりどりのフルーツを入れて食べているライアンに切り出す。「実家の?知らなかったっけ」「はい」プレートに残っていたブレッドの最後の一口を食べきって、ライ…

Dear

「おめでとう」帰ってくるなり渡された小さな薔薇のブーケ。「…なんですか?」「忘れてんの。まぁ予想はしてたけど」握ったブーケと笑ったライアンの顔を交互に見る。じっと見てくるグリーンの瞳は柔らかい。「誕生日」「え……、あ」「俺のは覚えてたのに」彼…

ふわりと、いつもと違う匂いが鼻を擽った。スポンサーとの会食パーティーに揃って出席した後のホテルの部屋で、ライアンのジャケットを渡された時だ。「皺」口角を上げて指摘された眉間のそれを指で触れて解消すると、手にしたジャケットをクローゼットへと…

アンドリューとハニーが仲良さげに温室で引っ付いている。今やお互いすっかり慣れてハニーも機嫌良さそうに抱かれているが、それとは逆に俺は少し不機嫌だ。なんせハニーを抱いてる時はハニーしか相手にしないアンドリュー。当然、俺は放ったらかし。「アン…

しようと思ったわけではなく、気づいたらしていた。今の行動はまさにそんな感じ。「なんかのご褒美?」嬉しそうに笑うライアンの頬にキスをしたのだと、こちらを見る緑の視線と目があって、ようやく我に返る。「…意外に柔らかい」聞かれたこととは全く関係な…