Regulus

獅子秘書置き場

1年365日のお題-2月

01  人の夢は儚いの?
人が見る夢は儚いと聞いて、確かにそうかもしれないと自身に突き刺さる。これからに希望を抱いてもそれは勝手な期待でしかない。離すつもりはないと言われているが、人間の気持ちはすぐに逆転するほど脆いものだということも痛いほど分かっているから、心のどこかで信用しきることが怖い。


02  目から鱗が落ちた
機械に疎いわけではないと自覚してる俺よりも、アンドリューの方がより詳しいことが分かってきた。これはプロに修理を頼んだ方がいいだろうと思うものを、一度見てみるからと部屋に入り、数分後に直ったと渡される。機械に強い男はポイント高いと女が言うのが少し分かった気がする。


03  食べ物を粗末にしちゃ駄目
食事中にライアンの電話が鳴った。仕事の話をしているが、どうも楽しげで長引いている。出来立てを食べてもらおうとタイミングを見計らって作ったのに。電話が終わった頃には案の定ほとんど冷めていて、温めなおしますと冷静を装ってキッチンに来たけれど思った以上にがっかりしている。


04  鬼は逃げた?
豆を撒いて鬼を外へ払い、福を内へ呼び込む。昨日オリエンタル地方では節分という行事があったらしい。ジュニアくんから聞かされたそれはいまいちピンとこないけど「あなたの近くに鬼がいたら、惚気ばかり聞かされて豆なんて投げなくてもとっくに逃げてるんじゃないですか」と言われた。


05  あなたの一番怖いもの
夜が怖いと言えば抱きすくめられて眠った時があった。夜がというよりも、眠れずに目が冴えて答えの出ない考えで頭が埋め尽くされて更に眠れなくなり、静けさと暗い視界も相まって心細く感じてしまう。日中にはまず起こらないあの感覚を、彼も同じように感じるのかが知りたい。


06  その言葉を心に刻んで
恋人に言われて嬉しかった言葉は数知れない。駆け引きをほとんどしないアンドリューだから、無意識に放たれた言葉を拾って俺が勝手に喜んでるのが常だけど、たまにそれらをまとめて心の中でリピートすると幸せな気分になるからお手軽だし、俺もそんな言葉を贈れていたらいいなと願う。


07  すっごい殺し文句
ライアンの新しいCMの殺し文句がすごいと話題になっているらしい。その撮影には同行したしCMも何度も見ているけれど、俺には殺し文句とは思えない。女性と男性では捉え方が違うのだろうかと思っていたが、毎日一緒に居て言われ慣れているのだと気付いた時、顔から火が出そうになった。


08  転んだことにも気付かない
朝弱そうな顔をしているアンドリューは意外ときっちり起きてくる。が、たまにものすごく寝起きの悪い朝がある。ほとんど寝てる状態で廊下の壁にもたれながら歩いてきて何もないところで躓いたりするけど本人は気付いていない。家の中で俺がいるからと気が緩んでるだけなら嬉しい事だけど。


09  正義の味方だ!
ヒーローが皆同じ正義のもとに動いてるわけではないけれど、ライアンはどうなんだろう、そういえば聞いたことがない。彼がヒーローを始めた理由・続けている理由をきちんと知りたい。今更かもしれないけれど、今だからこそ聞きたいこともある。他人に興味がわく瞬間を体感した。


10  リズム
寝る時間、起きる時間、食事の時間、風呂の時間。最初は全部がバラバラだったそれらが擦り寄っていき、今では同じようなリズムになってきたことに改めて喜びを感じる。唯一多少のズレがある就寝時間は、一緒に寝ることを提案してみたけれど、まだ首を縦に振ってはくれない。


11  君を動物に例えると
彼を動物に例えるなら、自他共に認める獅子以外は思いつかない。髪型は鬣を意識してるように見えるし、能力発動の体勢も心なしかそう見える。どちらも確認したことは無いから本人はそんなつもりじゃないかもしれないが、ライアンがモリィじゃなくて獅子を飼っていたとしてもしっくりくる。


12  ハンカチーフ
彼が持ってるハンカチはいつも角がきちんと重ねられていて、性格を表しているようだ。今まで使ったことがない家のアイロンが使われていると思うと嬉しくなる。アイロンと同じく使っていなかったものが恋人によって日の目を見るようになったものが多くて、一人の生活との違いを感じた。


13  思いを込めて
期待はされていないと思いつつも、その予想を裏切って渡した時の反応が見てみたい。数日前から計画して、後は今日ライアンが帰ってくるまでに作ってラッピングまで完成して部屋に持ち込めば、明日渡すまでバレることはない。そのためには調理を一発で成功させなければならないのが不安だ。


14  チョコレート乱舞!
チョコレートなんて貰えるはずがないし、今日が何の日かだって分かっていないかもしれないから、俺からだけでもたくさんの気持ちとチョコを贈りたい。なんてさっきまでは思っていた。帰宅すると予想外に甘い匂いが充満していて、俺の顔を見るなり「間に合わなかった…」と肩を落とされた。


15  コゲてない目玉焼き
昨日は結局ライアンが帰ってくるまでに完成させることは出来なかったが、長時間キッチンにいたせいか、今朝のたまご焼きは自分でも驚くくらい綺麗に出来た。ライアンも驚いてたくらいだ。チョコを作ってたまご焼きがうまくなるなんて、どこで何が繋がって成果になるか分からないものだ。


16  経験を糧にして
バレンタインから数日アンドリューの料理の手つきが良くなった。あの日どれだけキッチンで試行錯誤していたのか聞いてないけど、糧になってるなと周りから見て感じるのだから、本人も気付いているだろう。昨日のたまご焼きには驚いた、そして美味しかった。油断したらすぐに抜かれそうだ。


17  寒さの中で
外で待ち合わせをして一緒に帰るのは久しぶりだ。日が落ちて暗くなり、近くの売店の明かりに誘われるように歩いて、缶コーヒーを一本買った。悴んだ手をしばらく温めてから、開けてゆっくりと口元へ運ぶ。寒い中で温かいものを飲むと、いつもより味わえるようでたまにはいい。


18  コンビニエンス
時間より少し遅れて待ち合わせ場所へ向かうと、缶コーヒー片手に立つ姿すら絵になってて、声をかけられてないのが不思議で仕方ない。自分なら見つけた瞬間に声をかけるに違いない、なんて既に口説き済の恋人に近づいて一口欲しいとねだると、残念もう空だと笑われた。


19  何か恵んでください
待ってる間に飲み終えてしまったコーヒーの缶を捨てると、一口もらえなかったし代わりが欲しいと言われ、ポケットから先ほど街で配っていたキャンディを良い物があったと差し出す。そういう子どもっぽいものじゃなくてキスとかもらうつもりだったと残念がるライアンの頬をつねってやった。


20  北斗七星
つねられた頬が痛いなとアンドリューを見ると、自業自得だと笑って返された、北斗七星を目印にして二人並んで家へと歩く道。冷たい風が肌に刺さるようだと今度は違う文句を言ってみる。コーヒーで少し温まっていた片手をそっと伸ばされ、その手を離したくなくて、自分のポケットに誘った。


21  体温計
あまり見たくないものが目の前に突きつけられている。体温計だ。体調を崩したと認めたくないのに、計るまで動かないとライアンが隣にいるものだから仕方なく検温した。そこまで高くはないが平熱から考えたら発熱している。昨夜の帰り道は自分的にそんなに冷えた感覚はしなかったのに。


22  半信半疑
昨日から熱を出してるアンドリューが気になっている。同じ部屋にいるとうつるからと最低限しか入室させてくれない。せめて一日数回は検温しろと体温計を渡したけど、表示画面を見せてくれないまま、もう下がったと何度も言われた。怪しい。次言われたら、計るまで横にいてやる。


23  虹の色は何色?
熱は下がったと言ったのに信用してくれないライアンが傍で看病してくれて気がつけば朝だった。うつるからと出来るだけ部屋に入れないようにしてたのにこれでは意味が無い。今更言ってもどうしようもないと諦め、眩しそうな世界を遮るカーテンをそっと開けると七色の橋が空にかかっていた。


24  どうあがいても相容れない
仕事上ならともかくプライベートとなると口も利かない。端から見たら正反対の性格に見えるのだろう。そんないくつもの予想を裏切るように俺達は恋人になっている。相容れないというのは勝手な憶測で、意外と正反対だから惹かれあうものだってある。きっと俺はアンディの能力に引かれたんだ


25  思いやりか同情か
迎えにきてくれた時は申し訳ないくらい信用出来なかったけれど、今でも時々不安にはなる。何も知らない俺のことを傍に置くと決めたのは何故か。あの時まだライアンは試すぐらいの気持ちだったのでは。憐れみだとしても受け入れようとその手を取った俺の考えは間違っていたと今なら分かる。


26  君が描いた僕の顔
同情で迎えにきたのかと言われた時、相手から見た俺の顔はさぞ酷い人間に描かれているようで、見てわかるほどに肩を落とした。気持ちを伝えたつもりだったのに、肝心なとこは何も伝わっていなかった。そんな経験が無かっただけに自分の実力を疑った、そして絶対に後悔させないと誓った。


27  理想を追い求めて
大きなことを言えば、ライアンから自立したいという気持ちはある。いつまでも甘えるように傍にいても、お互いのためにならない。けどライアンが俺を手放してくれそうにないという予想も自惚れではなく出来る今では、離れてもためにならないのでは、ということも納得出来るようになった。


28  1年365日
365日プラス一日多い、それが明日。意識したことはあまり無かったけど、ふと特別な日のような気がした。いつもより多いのなら、あえて普段出来ないことをやってみるのもいい。例えばアンドリューを一日ベッドから出さないで甘やかすとか、一日モリィの温室で過ごさせる、のがいいか。


29  4年に一度
四年に一度だからって今日は平日だ。カレンダー通りでいけば仕事もあるし家事もある。昨夜からやたら上機嫌のライアンに朝起きてそのまま温室に連れてこられ、今日はここでリラックスして過ごして欲しい、と言われた。君の傍の方が落ち着くと言ったら喜ぶだろうか。


こちらのお題をお借りしています。
http://www.geocities.jp/miayano/odai/365.html